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《リベンジ★ラブ》
第1章 目の前に立つのは…
『柳瀬部長…吉川くん…待って…先に帰らないで…』
綾香の声は閉まるエレベーターのドアにさえぎられ彼女はドアさえも恨めしく睨んだ。

ドアさえ閉まらなければ自分の声は届いたかもしれないのにという気持ちだろうか。

腕を掴まれている事に綾香は振りほどこうともう一方の手を相手の手に重ねるが掴まれているが男と女、力加減、綾香には無理である。

『地位の高いお方に引き止められるほど私は顔が広くありません、誰かと間違えていらっしゃいませんか?』
社会人として精一杯の敬語を話す。

森部という名前もうちの会社の誰か優秀な方が居たんだと思うわ、全国に森部という名前は居るに決まってる。
森部という仕事の出来る人がうちに居たんだと思うの、名指しなんてそうでなきゃ考えられないもん。
巻き込まれたあたしついてない…
こんなイケメンに知り合いなんていないし…
髪が茶色というだけなら高校の時つき合っていた茶髪くんだけ…
ヤダな、茶色っていうだけで思い出しちゃだめなのに…
遠距離になった大学の先輩のおかげで忘れられたというのにまたあたしは茶色の度というだけで苦い思い出のあの人を思い出すのはもうやめよう…
こんなイケメンには言いよる彼女はたくさん居ると思えるからあたしを引き止めるのは誰かと間違えているとしか考えれない…
そのまま出てきたからお弁当も置いてきたし…唐揚げと卵焼き、エビピラフ…夜にはいたんで食べれないかも…

『間違いではない』
相手からの言葉は綾香の頭上で聞こえる。

間違えてるっ!
絶対に間違えてる!
高そうなスーツやネクタイに革靴を身に付けるような知り合いなんてあたしにはいないからっ…
慎吾ちゃんはジャージだし仕事には作業着にスニーカーで軽トラ、先輩はいまだに就職せずアルバイドだから穴のあいたジーンズなんかでバイト先に出入りしているから身なりくらいはちゃんとしないと駄目だと言うと先輩機嫌悪くなるから言わないんだけど…
スーツなんて直人兄と唯の彼だけだけどこの人が着ているものより少しだけランクが下がると思うの…
だからあたしには高級思考の知り合いはいない…
だから早くこの手から逃れてお弁当を食べに会社戻りたい!

『キャ〜専務〜偶然っ!ランチ一緒しましょ』
シャギーカット化粧濃いパンツスタイルのスーツ女があえて嬉しいとネコ撫で声。

『悪い、他をあたって』

断るの?
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