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第1章 目の前に立つのは…

出勤時に見つけた会社から歩いて５分の公園で、
ベンチに座りお弁当を食べ始め玉子焼きにほっとする。
『入社して３日目、覚える事たくさん…』

食べ終わると携帯を出しメールを開いて苦笑する。
【綾香しっかりご飯食べてるか？】
お父さん…

【綾香新しい勤め先はどう？やっていけそう？】
お母さん…

【何でも頼ってこい、車だから綾香のマンションまで行ってやれるから】
直人兄…

【改めて再就職おめでとう！３日目だから余裕ないね？いつかまた遊ぼ】
唯…

【森部さん遠距離になっちゃったけど週末には会おう】
あたしが大学卒業する前に告白してきたサークルの先輩…
失恋したつらさを考えないでいられた安らぐ人…

森部綾香・２５歳。
恋に臆病なまま先輩ともキス止まりな関係。

森部のり子・母、
明るくて面倒見いいしモテたのがわかるけどお父さんに一途なんだって。

森部稜（りょう）・父、
あたしの運動オンチはお父さんに似たのかな？
チアガールのお母さんに一目惚れらしいの。

森部直人・２７歳、
頭の良さはお父さん、運動神経の良さはお母さんに似て２人のいいとこ取りみたい。
お父さんみたいに有名な大学卒業なの。

笹山唯・２５歳、
高校からのあたしの親友であの頃からの彼氏と同棲なの。

――あっ、いけない。
休み時間終わっちゃう！

メールに懐かしくなり物思いにふける綾香は会社へと急いだ。