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第1章 目の前に立つのは…

――週明けて火曜、正午。
綾香は同じ部署数人の後を歩いて外ランチへ向かっていた。
昨日「明日は皆で」と先輩社員から約束させられた為に今朝お弁当は作っていない。

『森部さんは趣味は？』
『週末は何してるの？』
『前の会社と比べてどう？』
――等と立て続けに質問され膝上で両手を握る程に内心ため息をつきたいのを我慢する。

前の会社と比べてだなんて言えない…

『うちはさ質問されても、すぐに答えられなきゃ戦力にはならないわよ。
打ち合わせのディスカッションに負けちゃうから吉川みたいに積極的にならなきゃ』
『ありがとうございます、気をつけます』

吉川くんみたいに…

『彼氏いるの？それなら答えられるでしょ』
『彼氏…一応…』
『歯切れ悪い答えね』

帰りたい…
まるで面接みたいで安らげない…

『釜飯定食お待たせいたしました〜！』
綾香・吉川ら合わせ６人分の釜飯定食が置かれた。

お昼くらい気を抜かせて！
やはり仕事の延長みたいで釜飯の味さえわからず長く思える昼休みになった。

やっぱり公園で食べたい！
―
――
その日以来綾香は雨の日には会社の社員食堂でランチを購入したり、
雨以外なら公園でお弁当。
吉川からはそんな１人ご飯に嫌みさえ言われて苦手だと思う。

とある木曜、綾香は公園へと向かった。