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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
「…薫、薫、支度できた?」
扉の向こうで気遣わしげな…しかし少し焦っているような暁人の声が聞こえる。

縣薫は、小さく舌打ちをする。
「…まだだよ。…この靴、新品で履きづらいんだ」
…暁人は本当にせっかちだ。
クラスでも薫を急かすのに、自宅でも同じなのだから流石に苛々する。
折角夏休みに入ったのに…これじゃあ学校と変わらないじゃないか…。

「…入るよ、薫…」
…遠慮勝ちに…しかし躊躇いはなく扉が開かれる。
すらりとした…しかも最近は筋肉もしっかり付き始めた均整のとれた体躯の大紋暁人が入って来る。

「…叔父様も叔母様も…他の方々ももう庭園のテーブルにお着きになったよ。…あれ…まだそんな格好なのか…」
…入ってくるなり、文句だ。
薫は美しい唇を歪める。
「…うるさいな…。寝坊したんだ…」

暁人は白いシャツに紺色のネクタイ、夏用の明るい色合いのジャケットに半ズボン、紺色の長靴下にピカピカの黒い革靴という文句のつけようのないきちんとした着こなしとスタイルだ。

…対する薫は…
シーツもくしゃくしゃな寝台の上にパジャマを脱ぎ散らかし、肝心の洋服もまだ中途半端に着たままだ。

広い寝台の上に、撒き散らされた上質な舶来のシャツやらジャケットやらを見て、暁人は呆れたようにため息を吐く。
「…相変わらずだな…」
その大人びた物言いに薫は苛立つ。
…なんだよ、僕と同じ12歳なのに…なんで暁人はいつもこんなに大人びて、落ち着いているんだよ…。

「…メイドはどうしたの?支度を手伝って貰わないのか?」
つかつかと薫の前まで進みながら尋ねる。
薫は何だか面倒くさくなり、腰掛けていた寝台に寝転がる。
「…メイドは嫌いだ。…僕にやたら媚びてくるし」
「まさか!」
「本当さ。…一度は僕に胸を触らせようとした奴がいた。直ぐにバレて副執事の泉がそいつをクビにしたけどね…」
…あの時の泉の貌は…鬼のようだったな…。
薫は不意に愉快になり、くすくす笑った。

暁人はそんな薫を、少しむっとしたような表情で見つめていたが手を差し伸べ、明るく声をかけて来た。
「さあ、起きて。支度を手伝うよ」

寝転んだまま暁人の端正で大人びた男性的な貌を眺める。
…本当に暁人は12歳なんだろうか。いつまでも華奢で子供っぽい僕とは大違いだ…。
「…さあ」
…薫は素直に手を握る。
暁人は生まれた時からの幼馴染みだからだ。

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