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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
「…薫様、薫様…」
…誰だよ、折角いい気持ちで寝ているのに…。
薫は朝の惰眠を貪っている最中に声をかけられ、眉間に皺を寄せる。
「…薫様、お起きになってください…薫様…」
…しつこいな!全く!
薫は苛立ち、目を瞑ったまま羽枕を声の主の方向に投げつけた。
「…わっ!」

その声にはっと目を覚ます。
慌てて目を開けると、そこには羽枕を持ちやれやれと言いたげな表情をした泉が佇んでいた。
薫の眼は一遍に覚めた。
「…泉!」
ふっと苦笑いしながら、泉は羽枕をベッドに戻す。
「ようやくお目覚めですか…」
「ご、ごめん…」
副執事になってからの泉に起こされることは殆どなくなったから、寝起きの悪さを見られて思わず赤くなる。
泉はにっこりと笑うと、ブランケットを畳みながら話しかける。
「おはようございます。薫様」
「…お、おはよう…」
…夏の朝陽が差し込む部屋でまじまじと見ると、泉はやはり美形だと思う。
三十を少し過ぎたばかりだと思うが、その容姿や雰囲気は若々しく爽やかだ。
…だから執事の生田には、威厳や風格が足りないと評されるようだが…薫はそんな泉が大好きだ。
優しくて明るくて闊達で…とにかく薫を一番に可愛がってくれる。

うっとりと泉を見つめていると、泉はクローゼットから今日の薫の服を出しながら、やや急かす。
「暁人様はもう朝食室にお入りになられましたよ。…薫様も早くお着替えを…」
薫は舌打ちをする。
「なんだよ、あいつ。早起きだな…」
「薫様がお寝坊すぎるのです」
泉は呆れたように答える。
…暁人は馬術部の朝練も毎日欠かさない優等生だ。
朝練など一度も出たことがない薫とは大違いだ。

光と菫、そして礼也が軽井沢の別荘に揃った途端、光は薫に家に戻るようにと言い渡したのだ。
「何日大紋さんのお宅でお世話になるつもりなの?もういい加減こちらに帰って来なさい。…その代わり暁人さんにうちに泊まっていただいたらいいでしょう?」

…本当はずっと暁人の家にいたかったが、ここで反抗したら東京の屋敷に送り返されるのは眼に見えていたから渋々承諾したのだ。
いくら光でも、暁人がいたら薫を叱ったりしないだろうとの目論見もあった。

…しかし…。
甘かった…。
暁人はあまりに優等生すぎて、光は益々薫に厳しく小言を言うようになってしまったのだ。


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