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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園

泉は部屋のカーテンと窓を開けて、新鮮な空気と入れかえる。
「さあ、薫様。お着替えを…」
まだベッドの上で白い裾の長い寝間着姿で胡座をかいている薫の元に近づき、服を脱がせようとする。
子どもの頃のように、万歳をして脱がされそうになり
「…ちょっ…!じ、自分で脱げるよ!」
と慌てる。
泉は不思議そうな貌をして、首をかしげる。
「そうですか?…では、お着替えをこちらに…」
ベッドの上に着替えを置き、他の窓を開けに行く。
そのすらりとした美しい後ろ姿を見ながら、薫は不満がふつふつと湧き上がる。
…なんだよ、僕とキスしておいて全然態度が変わらないってどういうことだよ…。
…あの日、夜の庭園で薫は泉にねだり、キスをして貰った。
額や頬なんかじゃない。
唇への正式なやつだ。
…泉は確かに大人のキスをしてくれた。
泉の熱い舌が僅かではあるが、薫の唇を舐め、その唇が薫の唇を咥え…淫靡な匂いのするキスをしてくれたのだ。思い返すだけでドキドキする。
…だがそれっきりだ。
薫は綺麗な貌に膨れっ面の表情を浮かべる。
…なんだよ、もう少し僕にぎこちなくなったりしてもいいんじゃないか?
あれは…あのキスは、なんだったんだよ…。
…やっぱり、泉は僕のことを何とも思ってはいないのかな…。
そう思うだけで、ずきりと胸が痛む。
…やっぱり、泉はずっと想っているその人が好きなんじゃないだろうか…。
萎れてゆく心で考え込む。
「薫様!」
ぼんやりしている薫の前に思わぬ近さで泉の端正な貌が現れる。
「わっ…!」
泉はさっさと薫の寝間着を脱がせる。
「な、何するんだよ!」
バタバタと暴れる薫を押さえつけながら、手品のような手際の良さでシャツを着せ、半ズボンを薫を穿かせる。
床に長い脚で跪きながら、薫に黒いハイソックスを穿かせる。
「…薫様は昔から朝のお支度に時間がかかりますね。学校ではどうなさっているのか、泉は心配でなりません」
苦笑しながらも薫を愛しげに見つめる。
…だから泉は好きだ。
お母様のように機関銃みたいな小言を薫に浴びせたりしないからだ。
「…ちゃんとやってるよ…」
上目遣いで見つめると、泉は薫の頭をくしゃくしゃと撫でる。
「安心いたしました。…さあ、お顔を洗われて下さい」
…やっぱりそうだ。泉の蕩けるように優しい笑顔は薫だけに見せるものだ。
…だから薫は混乱してしまうのだ。
「さあ、薫様。お着替えを…」
まだベッドの上で白い裾の長い寝間着姿で胡座をかいている薫の元に近づき、服を脱がせようとする。
子どもの頃のように、万歳をして脱がされそうになり
「…ちょっ…!じ、自分で脱げるよ!」
と慌てる。
泉は不思議そうな貌をして、首をかしげる。
「そうですか?…では、お着替えをこちらに…」
ベッドの上に着替えを置き、他の窓を開けに行く。
そのすらりとした美しい後ろ姿を見ながら、薫は不満がふつふつと湧き上がる。
…なんだよ、僕とキスしておいて全然態度が変わらないってどういうことだよ…。
…あの日、夜の庭園で薫は泉にねだり、キスをして貰った。
額や頬なんかじゃない。
唇への正式なやつだ。
…泉は確かに大人のキスをしてくれた。
泉の熱い舌が僅かではあるが、薫の唇を舐め、その唇が薫の唇を咥え…淫靡な匂いのするキスをしてくれたのだ。思い返すだけでドキドキする。
…だがそれっきりだ。
薫は綺麗な貌に膨れっ面の表情を浮かべる。
…なんだよ、もう少し僕にぎこちなくなったりしてもいいんじゃないか?
あれは…あのキスは、なんだったんだよ…。
…やっぱり、泉は僕のことを何とも思ってはいないのかな…。
そう思うだけで、ずきりと胸が痛む。
…やっぱり、泉はずっと想っているその人が好きなんじゃないだろうか…。
萎れてゆく心で考え込む。
「薫様!」
ぼんやりしている薫の前に思わぬ近さで泉の端正な貌が現れる。
「わっ…!」
泉はさっさと薫の寝間着を脱がせる。
「な、何するんだよ!」
バタバタと暴れる薫を押さえつけながら、手品のような手際の良さでシャツを着せ、半ズボンを薫を穿かせる。
床に長い脚で跪きながら、薫に黒いハイソックスを穿かせる。
「…薫様は昔から朝のお支度に時間がかかりますね。学校ではどうなさっているのか、泉は心配でなりません」
苦笑しながらも薫を愛しげに見つめる。
…だから泉は好きだ。
お母様のように機関銃みたいな小言を薫に浴びせたりしないからだ。
「…ちゃんとやってるよ…」
上目遣いで見つめると、泉は薫の頭をくしゃくしゃと撫でる。
「安心いたしました。…さあ、お顔を洗われて下さい」
…やっぱりそうだ。泉の蕩けるように優しい笑顔は薫だけに見せるものだ。
…だから薫は混乱してしまうのだ。

