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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
「…恥ずかしい…よ…」
珍しく恥じらうように首を振る薫の薄紅色の頬は月の光の下で妖しいほどに輝いていた。
「…泉だけに教えてください…」
優しく甘やかすように囁く。
「……」
薫が泉の耳元に唇を寄せて小さく呟く。
泉は優しく微笑い、その表情とは裏腹にやや乱暴に腰を引き寄せる。
アルゼンチンタンゴを踊るような密着した体勢になる。
…薫の華奢な脚と泉の筋肉質な脚が絡み合い、固く密着する。
「…あっ…!」
白い寝間着越しに男の下腹部が当たり、恐ろしく硬く兆しているものが薫の下腹部に押し付けられる。

…初めて知る男の生々しい牡の欲望の象に薫は、身震いする。
薫は大人の男性の性器を見たことがない。
上流階級の家庭では、親子とはいえ肌は見せ合わない。父とは物心つく以前は兎も角、成長してからは一緒に入浴したこともない。
だから、薫の幼い性器に押し付けられているそれが…スラックス越しとはいえ、硬く大きな熱い塊が自分と同じものだとは到底信じられず、息を飲んだ。
「…あっ…せ…ん…っ…」
熱い塊を押し付けられ、卑猥な動きに擦り付けられる。
むず痒いような快感を秘めた薫の幼い花茎に泉の堂々たる硬い雄蕊が大胆に…けれど細やかに擦られ、その摩擦熱が薫の下肢を痺れさせる。

「…んんっ…は…あ…っ…ん…」
今まで出したことがないような甘く濡れた声が漏れる。
「気持ちいいですか…?」
優しい声…。
だが、少し上擦った熱い温度を感じさせる声色が熱い吐息と共に鼓膜に吹き込まれる。
「…んっ…きもい…いい…っ…きもちいい…よ…せん…っ…どうしよ…こんなの…はじめ…て…」
未知の快楽に薫は泣き出す寸前だ。
「…大丈夫です。…泉にお任せください。…怖がらないで…力を抜いて…泉にしがみついてください…」
昔、屋敷の大きな樅木に雷が落ちた時、泣きじゃくる薫を抱きしめ、宥めたのと同じ優しい言葉と仕草だった。
だから薫は泉にしがみつく。
…昔と違うのは、あの頃泉にしがみついて得られたのは安堵感であったが、今、彼から得られるのは未だ感じたことのない身体が浮遊するような切ない快感であった。
…薫は自分から幼い花茎を擦り付ける。
「…きもちい…きもちいい…よ…せん…もっと…もっとして…」
涙ぐみながら腰を動かす薫が愛おしくて、泉は薄桃色に染まった耳朶を噛む。
「…ええ、泉がもっと気持ちよくして差し上げますよ…」
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