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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
「…私もです。…私も気がついた時には貴方のことばかり考えていた。…昼も夜も…。そんなことは生まれて初めてだった…」
月城の唇が暁の髪に優しく触れる。
「…嬉しい…。…でも、僕の方がずっと君のことを好きだったはずだ。…あの頃は、どうやったら君と偶然の振りをして出会えるか…そんなことばかり考えていたんだから」
…他家の執事に会う機会はほぼない。
ましてやあの頃は、月城が暁を好きかどうかもわからなかった。
馬場で偶然会うのが精一杯だった…。
「…馬場で会っても君は素っ気ないし…兄さんの話をすると、凄く冷たい貌をされて…僕はあまり好かれていないんだ…て、落ち込んだよ」
拗ねるように見上げる暁の肩を優しく抱き寄せる。
「私は嫉妬していたのですよ。礼也様に…。礼也様のことをお話になる貴方はとても嬉しそうで…礼也様もそれはそれは貴方のことを可愛がっていらっしゃいましたし…」
…それは今でもそうだ。礼也にとって月城は、目の中に入れても痛くないほどに溺愛している弟を奪った男…なのだろう。
常に寛大で博愛主義者の礼也とは思えないほど、月城には未だに厳しい態度を崩さない。
…しかしそれは暁を愛するがゆえ…なのだ。
それに、確かに暁には実の兄ですら、妖しい気持ちにさせてしまうような密やかな色香がある。
健全な礼也はその感情を悩ましく持て余しているのではないかと、気の毒に思うことがあるほどだ。
「…本当に?」
甘えるように見上げる暁を愛おしいと思う。
暁は自分の美しさや魅力に無頓着だ。
未だに月城に本当に愛されているのか自信が持てなくて、こうしてことあるごとに確かめる。

…私の方がどれだけ貴方を愛しているのか、貴方はきっと一生気づかない…。
美しく儚げで穢れないペシミストの愛しい恋人…。

月城は握りしめている指と指を絡ませる。
薬指のプラチナの指輪がかちりと音を立てた。
この音がするたびに、暁は蕩けそう苦い幸せそうな貌になる。
「この夏は僕にとって一生忘れられない夏になったよ…」
月城の指を愛おしげに撫でる暁に、月城は自戒を込めて苦く呟く。
「…けれど私は…貴方を傷つけてしまった」
…無理やり身体を奪ったあの夜…。
思い返すたびに苦いものが込み上げる。
暁は愛しかない眼差しで月城を見上げる。
「…君の方が傷ついたはずだ…」
「…暁様…!」
…この人はどこまで優しいのだろうか…!
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