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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
「…忍さんの…心配をしているの?もしかして…」
月城の腕の中で、暁が貌を見上げる。
月城は人形のように整った貌に、人間らしい苦笑を浮かべる。
「私は貴方のことになると、自分でも驚くほど嫉妬深くて嫌になります…」
「…月城…」
この、美しすぎる怜悧な男に濃密に愛されていることの喜びに、身体が一瞬で燃え上がるような幸福感を覚える。
暁は握りしめている手をぎゅっと強く握り返す。
「忍さんとは昔、少しだけ心と身体を温めてもらった…。ただそれだけだ」
…大紋と別れたばかりの頃、身も心も凍えるように寒くて寂しくて…死んでしまいたい日々を送っていた時…明るく優しい笑顔で暁を癒し、抱いてくれた風間…。
そこに恋愛感情はなかったが確かにあの時、風間の存在に暁は救われ、大紋の喪失感から少しずつ救われてきたのだった。
月城は堪らずに暁の華奢な身体を抱きしめる。
…夜に咲く白く妖しい花のような薫り…。
この薫りを風間も嗅ぎ、この稀有な美しくも淫らな身体を抱いたのかと思うと、昔のことだというのに居てもたってもいられないような焦燥感に駆られるのだ。
…だから、こんなふうに作りもののように白く美しい耳朶に囁いてしまう。
「…私が貴方を温めて差し上げたかった…。風間様ではなく、私が…」
暁は悪くないのについ苛立ってしまい、そのまま透き通るように柔らかな耳朶を噛む。
「…あっ…つきしろ…」
「こんな風に嫉妬に狂ってしまうのも、貴方のせいだ…。貴方が愛おしすぎるから…誰にも触れさせたくなくて…貴方を愛するようになってからの私は、いつもこうですよ…」
端麗な唇を歪ませて笑う月城に、暁は少し背伸びをしてくちづける。
「…嬉しい…。君に執着されるのは、僕の何よりの喜びだ」
「…暁様…」
暁の儚くも妖艶な美貌が暖炉の炎に照らされ、一層艶めかしく輝く。
「…ずっと愛してくれ…死ぬまでずっと…狂おしいほどに…」
「暁様…!」
月城は返事の代わりにその淡雪のように儚げな唇を情熱的に奪う。
…未来永劫、この美しいひとをこの手から離さないと心に定めながら…。
蓄音機のレコードはまだ薔薇色に染まる恋人たちの幸福を嫋嫋と、唄い続けているのだった…。
月城の腕の中で、暁が貌を見上げる。
月城は人形のように整った貌に、人間らしい苦笑を浮かべる。
「私は貴方のことになると、自分でも驚くほど嫉妬深くて嫌になります…」
「…月城…」
この、美しすぎる怜悧な男に濃密に愛されていることの喜びに、身体が一瞬で燃え上がるような幸福感を覚える。
暁は握りしめている手をぎゅっと強く握り返す。
「忍さんとは昔、少しだけ心と身体を温めてもらった…。ただそれだけだ」
…大紋と別れたばかりの頃、身も心も凍えるように寒くて寂しくて…死んでしまいたい日々を送っていた時…明るく優しい笑顔で暁を癒し、抱いてくれた風間…。
そこに恋愛感情はなかったが確かにあの時、風間の存在に暁は救われ、大紋の喪失感から少しずつ救われてきたのだった。
月城は堪らずに暁の華奢な身体を抱きしめる。
…夜に咲く白く妖しい花のような薫り…。
この薫りを風間も嗅ぎ、この稀有な美しくも淫らな身体を抱いたのかと思うと、昔のことだというのに居てもたってもいられないような焦燥感に駆られるのだ。
…だから、こんなふうに作りもののように白く美しい耳朶に囁いてしまう。
「…私が貴方を温めて差し上げたかった…。風間様ではなく、私が…」
暁は悪くないのについ苛立ってしまい、そのまま透き通るように柔らかな耳朶を噛む。
「…あっ…つきしろ…」
「こんな風に嫉妬に狂ってしまうのも、貴方のせいだ…。貴方が愛おしすぎるから…誰にも触れさせたくなくて…貴方を愛するようになってからの私は、いつもこうですよ…」
端麗な唇を歪ませて笑う月城に、暁は少し背伸びをしてくちづける。
「…嬉しい…。君に執着されるのは、僕の何よりの喜びだ」
「…暁様…」
暁の儚くも妖艶な美貌が暖炉の炎に照らされ、一層艶めかしく輝く。
「…ずっと愛してくれ…死ぬまでずっと…狂おしいほどに…」
「暁様…!」
月城は返事の代わりにその淡雪のように儚げな唇を情熱的に奪う。
…未来永劫、この美しいひとをこの手から離さないと心に定めながら…。
蓄音機のレコードはまだ薔薇色に染まる恋人たちの幸福を嫋嫋と、唄い続けているのだった…。