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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第6章 いつか、愛を囁いて
月城の水仙の薫りを吸い込みながら、暁は可笑しそうに笑う。
「…笑いごとではありません」
むっとしたような声色に貌を上げる。
北白川伯爵家の氷の美貌の執事と評されるその貌は憮然としていた。
「あの風間様のご子息ですよ⁈」
「…実際は甥っ子だけどね」
「それでも風間様の血は流れていらっしゃいます。しかもフランス育ちでいらっしゃる。…どれだけご性格が不埒…いや…開放的か容易に想像できます」
「ひどい偏見だな」
暁はやや呆れる。
「…私は暁様が心配なのです。縣様のお屋敷に滞在されるとはいえ、これから度々お会いになられることでしょう。…危険すぎます」
深刻さが増してくる口調に暁は慌てて宥める。
「落ち着いてくれ、月城。…司くんは18歳、僕は36だ。…司くんからしたらお父様みたいなものだ」
月城は苛立ったように眉を顰め、暁の小さく整った貌を引き寄せる。
「貴方は何も分かっていらっしゃらない。…このお美しくも艶めかしいお貌がどれだけ男を虜にするのか…。貴方は若い頃よりも遥かに艶めいて色香を漂わせていらっしゃる。…若い牡がそんな貴方を見たら…野獣と化すのは時間の問題です」
暁は苦笑する。
「…僕を心配してくれるのは嬉しいけれど…君の懸念は杞憂すぎる。…第一僕は…」
暁の白く細い指先が月城の引き締まった頬のラインを愛おしげになぞる。
潤んだ瞳が細められる。
「…君に首ったけだ。…他の男はどうでもいい」
「…男をたらしこむのがお上手になられた…」
忌々しげに唸るように囁くと、そのまま暁の顎を引き寄せ、唇を奪う。
「…んっ…あ…は…あ…っ…」
「離れていると、貴方のことが心配でならない…」
濃厚にくちづけを交わしながら、低い声で掻き口説く。
「…お仕事、お茶会、夜会…こんなにも美しく艶めかしい貴方が沢山の男の前に晒されているかと思うと…」
「…は…ああ…んっ…つき…しろ…」
暁の紅く薄い舌を強引に引き出し、淫らに絡める。
透明な冬の朝陽の中で交わされるには余りに淫蕩なくちづけが続く。
「…も…やめて…車が…来る…」
「…あと少し…貴方を感じさせて下さい…。また暫くお会いできない…」
愛する男に切なげに言われると、暁の身体は柔らかく溶ける。
自ら激しく男の舌を求める。
「…んんっ…つきしろ…愛してる…」
「…愛しています…暁様…」
…濃密な愛のくちづけは何時までも終わることはなかった。
「…笑いごとではありません」
むっとしたような声色に貌を上げる。
北白川伯爵家の氷の美貌の執事と評されるその貌は憮然としていた。
「あの風間様のご子息ですよ⁈」
「…実際は甥っ子だけどね」
「それでも風間様の血は流れていらっしゃいます。しかもフランス育ちでいらっしゃる。…どれだけご性格が不埒…いや…開放的か容易に想像できます」
「ひどい偏見だな」
暁はやや呆れる。
「…私は暁様が心配なのです。縣様のお屋敷に滞在されるとはいえ、これから度々お会いになられることでしょう。…危険すぎます」
深刻さが増してくる口調に暁は慌てて宥める。
「落ち着いてくれ、月城。…司くんは18歳、僕は36だ。…司くんからしたらお父様みたいなものだ」
月城は苛立ったように眉を顰め、暁の小さく整った貌を引き寄せる。
「貴方は何も分かっていらっしゃらない。…このお美しくも艶めかしいお貌がどれだけ男を虜にするのか…。貴方は若い頃よりも遥かに艶めいて色香を漂わせていらっしゃる。…若い牡がそんな貴方を見たら…野獣と化すのは時間の問題です」
暁は苦笑する。
「…僕を心配してくれるのは嬉しいけれど…君の懸念は杞憂すぎる。…第一僕は…」
暁の白く細い指先が月城の引き締まった頬のラインを愛おしげになぞる。
潤んだ瞳が細められる。
「…君に首ったけだ。…他の男はどうでもいい」
「…男をたらしこむのがお上手になられた…」
忌々しげに唸るように囁くと、そのまま暁の顎を引き寄せ、唇を奪う。
「…んっ…あ…は…あ…っ…」
「離れていると、貴方のことが心配でならない…」
濃厚にくちづけを交わしながら、低い声で掻き口説く。
「…お仕事、お茶会、夜会…こんなにも美しく艶めかしい貴方が沢山の男の前に晒されているかと思うと…」
「…は…ああ…んっ…つき…しろ…」
暁の紅く薄い舌を強引に引き出し、淫らに絡める。
透明な冬の朝陽の中で交わされるには余りに淫蕩なくちづけが続く。
「…も…やめて…車が…来る…」
「…あと少し…貴方を感じさせて下さい…。また暫くお会いできない…」
愛する男に切なげに言われると、暁の身体は柔らかく溶ける。
自ら激しく男の舌を求める。
「…んんっ…つきしろ…愛してる…」
「…愛しています…暁様…」
…濃密な愛のくちづけは何時までも終わることはなかった。