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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第6章 いつか、愛を囁いて
「嬉しいわ。司さんが我が家にホームステイしてくださることになって」
光がいつにも増して華やかな声を上げて歓待する。
縣家の大客間は昼間から活気づき、陽気な雰囲気に満ちていた。
…話題の中心の人物は…。
いかにも外国製の高価そうな、しかも最新流行のチャコールグレーのジャケットに明るい水色のシャツ、クリームイエローのネクタイを締め、優雅に脚を組んで微笑む風間 司…その人であった。
副執事の月城 泉は焼き立てのスコーンとクロテッドクリームをテーブルに運ぶ下僕たちに不手際がないか目を光らせながら、思わず司に見惚れた。
…すらりとしたしなやかな長身、やや明るい色の黒髪は長めで軽く波うっている。
白い肌は透き通るようで形の良い眉、二重のくっきりした瞳は薄茶色だ。
どこか夢見るような…それでいて茶目っ気のある瞳はきらきら輝いている。高い鼻筋は彫刻刀で刻んだように美しく、口角が上がっている綺麗な唇…。
生粋の日本人なのに雰囲気は西洋人のように洗練され、闊達なものだった。
司は貴族ではないが、まだ若いのに辺りを払うようなオーラがあり、ただの大学生ではない品位が感じられた。
「突然留学が決まったのに、快くホームステイを受け入れてくださってありがとうございます」
柔かに微笑みながら頭を下げる。
縣家を訪れたのはこれが初めてなのに、物怖じする様子もなく、堂々と自然に馴染んでいる様子にも泉は驚いた。
「いや、君の家族には昔からとても思い入れがあるからね。…こんなに立派に成長した君を我が家に迎えられてとても嬉しく思うよ」
精悍な貌を綻ばせながら礼也も歓迎する。
「本当にね。あんなに小かった君がこんなに大きくなって…」
礼也の隣に座る暁が感慨深げに微笑む。
「暁さんはちっともお変わりになりませんね。昔からずっとお綺麗だ。いや、益々お美しくなられている…」
薄茶色の瞳が暁を見て細められる。
暁が不意をつかれたように白い頬を染め、慌てて眼を逸らした。
一回り以上年上の男性に対して随分馴れ馴れしいなと、泉は少しむっとする。
…幼少期から外国で育つとこんなにキザになるのだろうか…と泉は眉を顰めて司を見る。
視線を感じたのか司が泉を見上げた。
思わず驚いて表情を強張らせる泉に、司は柔かに微笑み長く濃い睫毛を瞬かせた。
泉は慌てて、テーブルの側を離れた。
光がいつにも増して華やかな声を上げて歓待する。
縣家の大客間は昼間から活気づき、陽気な雰囲気に満ちていた。
…話題の中心の人物は…。
いかにも外国製の高価そうな、しかも最新流行のチャコールグレーのジャケットに明るい水色のシャツ、クリームイエローのネクタイを締め、優雅に脚を組んで微笑む風間 司…その人であった。
副執事の月城 泉は焼き立てのスコーンとクロテッドクリームをテーブルに運ぶ下僕たちに不手際がないか目を光らせながら、思わず司に見惚れた。
…すらりとしたしなやかな長身、やや明るい色の黒髪は長めで軽く波うっている。
白い肌は透き通るようで形の良い眉、二重のくっきりした瞳は薄茶色だ。
どこか夢見るような…それでいて茶目っ気のある瞳はきらきら輝いている。高い鼻筋は彫刻刀で刻んだように美しく、口角が上がっている綺麗な唇…。
生粋の日本人なのに雰囲気は西洋人のように洗練され、闊達なものだった。
司は貴族ではないが、まだ若いのに辺りを払うようなオーラがあり、ただの大学生ではない品位が感じられた。
「突然留学が決まったのに、快くホームステイを受け入れてくださってありがとうございます」
柔かに微笑みながら頭を下げる。
縣家を訪れたのはこれが初めてなのに、物怖じする様子もなく、堂々と自然に馴染んでいる様子にも泉は驚いた。
「いや、君の家族には昔からとても思い入れがあるからね。…こんなに立派に成長した君を我が家に迎えられてとても嬉しく思うよ」
精悍な貌を綻ばせながら礼也も歓迎する。
「本当にね。あんなに小かった君がこんなに大きくなって…」
礼也の隣に座る暁が感慨深げに微笑む。
「暁さんはちっともお変わりになりませんね。昔からずっとお綺麗だ。いや、益々お美しくなられている…」
薄茶色の瞳が暁を見て細められる。
暁が不意をつかれたように白い頬を染め、慌てて眼を逸らした。
一回り以上年上の男性に対して随分馴れ馴れしいなと、泉は少しむっとする。
…幼少期から外国で育つとこんなにキザになるのだろうか…と泉は眉を顰めて司を見る。
視線を感じたのか司が泉を見上げた。
思わず驚いて表情を強張らせる泉に、司は柔かに微笑み長く濃い睫毛を瞬かせた。
泉は慌てて、テーブルの側を離れた。