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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第1章 夏の華
月城は面喰らったような貌をした。
「…恋愛…偏差値…?」
「君は賢いし、冷静だし、18の時から既に大人びていた。仕事第一でストイックに生きて来たし、初恋はご主人様のお姫様だ。…有閑マダム達の火遊びのお相手はしたが、生身の真剣な恋愛はきっと暁様が初めてだろう?
…苦しくて、切なくて、でも愛おしい…。その人と一緒にいられる時間ごと愛おしい…。
そういう生身の恋愛をしているからこそ、今みたいな言葉が出るのさ。おめでとう、月城くん」
狭霧の眼は可愛がっている弟を見るような温かなものだった。
「…けれど、私は執事失格です。…大切な仕事を差し置いて…」
苦しげに眼を伏せる。
「同じくらいに…いや、それ以上に暁様が大切だからこの選択をしたのだろう?…執事とて人間だ。時には自分の心を優先したって構わないじゃないか。
人の温かい心が分かってこそ、血が通った業務が出来るのさ」

狭霧の優しい言葉が胸に染み入る。
見上げた瞳は狭霧の琥珀色の眼差しに捉えられる。
「…君の仕事の代わりは僕にもできるが、暁様の恋人の代わりはいないんだよ」
「狭霧さん…!」
月城の感極まった声に、ふわりと柔らかく微笑む。
「旦那様には私からお伝えしておく。心配はいらないよ」
「ありがとうございます!感謝いたします!」
しっかりとお辞儀する月城に、狭霧の朗らかな声が届く。
「…あ、でもお礼はして貰わなきゃね」
月城は慌てて、頭を上げる。
「もちろんです!何でも言っ…⁉︎」
言いかけた唇を素早く、しなやかに奪われる。
狭霧の唇は柔らかく月城の唇を押し包み、滑らかな舌があっと言う間に歯列を割り、月城の舌を弄り淫靡な動きで絡め、口内を愛撫していった。
「…んっ…!…さぎり…さ…」
狭霧は思う存分、月城の舌と唇の全てを味わい尽くすと、再びしなやかに月城から離れ、妖しく笑った。
「ご馳走様、月城くん。お礼は貰ったよ」
「…狭霧さん!」
憮然とする月城の肩に手を掛け、
「さあ、後は思う存分、暁様と花火を楽しんでくれたまえ」
と、無邪気に笑うと作業室を軽やかに出て行った。

後に残された月城は苦笑しながら、溜息を吐いた。
「…狭霧さん…相変わらずだ…」

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