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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第8章 真夜中のお茶をご一緒に
冬晴れの暖かな日差しの下、二人はゆっくり歩く。
広い敷地を出て暫くは、民家もない。
途中の砂利道に脚を取られそうになり、バランスを崩しかけた司の手を、泉がすかさず引き上げる。
「あ…っ!」
「大丈夫ですか?」
「う、うん。大丈夫…」
泉の心配気な貌が近づいて、司は思わず手を離そうとする。

…しかし、泉の手は強く握りしめられたままだ。
「…泉…」
戸惑う司を安心させるように泉は優しく微笑み、けれど手を離さずに言った。
「…まだ病み上がりでいらっしゃいますからね。
転ばれてもいけない。…このまま参りましょう」
「…う、うん…」
司は恥ずかしそうに俯くと、そっとその手を握り返した。
泉は司を愛しげに見下ろし、司の華奢な手を握りしめたまま歩き始めた。


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