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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第8章 真夜中のお茶をご一緒に
拝殿の前で二人並び、本坪鈴を鳴らしお参りする。
一途に手を合わせ、祈る司の横顔をそっと見下ろす。
亜麻色の髪が陽射しに透けて、まるで金色のような輝きを放っていた。
…長い睫毛、すんなりと整った鼻筋、唇は春先の可憐な花のように紅い…。
…本当に、綺麗なひとだな…。
同性の男性を見て、その美貌に眼を奪われるのは暁以来初めてだった。
暁は最初から兄のものだったから、ずっとそっと見守ることしかできなかった。
…しかし、司は違う。
自分が思い切り甘やかして上げられる。
傷ついた司の心を自分が癒してやりたい…。
泉は強く思った。
祈り終わった司が貌を上げ、泉を見上げた。
泉と目が合うと、少し恥ずかしそうに…眩しげに微笑った。
参拝客で賑わう社務所の御守り売り場を興味深げに見ている司に声をかけた。
「御守りは身につけていると、厄を払い幸せになれると言われているのですよ。…何が良いですか?」
「え?買ってくれるの?」
「ええ。私から司様へのささやかなお年玉です」
「お年玉って何?」
屈託なく尋ねる司が可愛らしい。
「ご祝儀です。…おめでたい日のプレゼントです」
司は嬉しそうに笑った。
「ありがとう…!」
そう言って司が選んだのは、破魔矢だった。
「御守りなのにアーチェリーの弓矢みたいで、すごくかっこいい!」
興奮している司は子どものように愛らしかった。
「瑠璃子様にもお土産に何かいかがですか?司様が贈られたら喜ばれますよ」
「いいの?」
司は眼を丸くして驚く。
「もちろん」
「ありがとう!…じゃあ、瑠璃子にはこれ…!」
鴇色の可愛らしい小さな巾着型の御守りを選んだ。
小さな金の鈴が付いていて、揺れると可憐な音が鳴る。
「瑠璃子、きっと凄く喜ぶよ。フランスに御守りはないから。
…ありがとう、泉」
嬉しそうな司を見ているだけで、泉は自分が贈り物を貰ったような気持ちになった。
優しく微笑み、再び手を差し伸べる。
「…一休みしましょうか?…参道のお店に美味しい甘酒があるんです」
「…うん…!」
司は直ぐに手を取り、先程よりは強い力で泉の手を握りしめた。
一途に手を合わせ、祈る司の横顔をそっと見下ろす。
亜麻色の髪が陽射しに透けて、まるで金色のような輝きを放っていた。
…長い睫毛、すんなりと整った鼻筋、唇は春先の可憐な花のように紅い…。
…本当に、綺麗なひとだな…。
同性の男性を見て、その美貌に眼を奪われるのは暁以来初めてだった。
暁は最初から兄のものだったから、ずっとそっと見守ることしかできなかった。
…しかし、司は違う。
自分が思い切り甘やかして上げられる。
傷ついた司の心を自分が癒してやりたい…。
泉は強く思った。
祈り終わった司が貌を上げ、泉を見上げた。
泉と目が合うと、少し恥ずかしそうに…眩しげに微笑った。
参拝客で賑わう社務所の御守り売り場を興味深げに見ている司に声をかけた。
「御守りは身につけていると、厄を払い幸せになれると言われているのですよ。…何が良いですか?」
「え?買ってくれるの?」
「ええ。私から司様へのささやかなお年玉です」
「お年玉って何?」
屈託なく尋ねる司が可愛らしい。
「ご祝儀です。…おめでたい日のプレゼントです」
司は嬉しそうに笑った。
「ありがとう…!」
そう言って司が選んだのは、破魔矢だった。
「御守りなのにアーチェリーの弓矢みたいで、すごくかっこいい!」
興奮している司は子どものように愛らしかった。
「瑠璃子様にもお土産に何かいかがですか?司様が贈られたら喜ばれますよ」
「いいの?」
司は眼を丸くして驚く。
「もちろん」
「ありがとう!…じゃあ、瑠璃子にはこれ…!」
鴇色の可愛らしい小さな巾着型の御守りを選んだ。
小さな金の鈴が付いていて、揺れると可憐な音が鳴る。
「瑠璃子、きっと凄く喜ぶよ。フランスに御守りはないから。
…ありがとう、泉」
嬉しそうな司を見ているだけで、泉は自分が贈り物を貰ったような気持ちになった。
優しく微笑み、再び手を差し伸べる。
「…一休みしましょうか?…参道のお店に美味しい甘酒があるんです」
「…うん…!」
司は直ぐに手を取り、先程よりは強い力で泉の手を握りしめた。