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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第8章 真夜中のお茶をご一緒に
勤務日誌を書き終えた泉は執務室から出ると、自室に入った。
六畳ほどの部屋には先代から受け継がれている年代物の古いが造りのしっかりとした衣装箪笥、本棚、ライティングデスクとチェアー、ベッドとソファがあり、隣室には洗面所もついている。
生田が昨年から通いの執事へと半引退を決めたのを潮に、この執事部屋を泉が受け継いだのだった。
「もうお前がこの縣家の執事なのだから」
と言う言葉とともに部屋の鍵を譲り受けたのだが、泉は
「生田さんがこちらにいらっしゃる内は私は副執事でいさせて下さい」
と昇進を拒んだ。
生田は自分の理想の父親のような存在だ。
知的で品が良くて、仕事には厳しいが本当はとても温かい。
いつまでも生田の下で働きたい…。
まだまだ教えてもらいたいことはたくさんある。
それが泉の本音だ。
生田は黙って昔よくしたように泉の頭をくしゃくしゃと掻き回し、小さく笑った。
「…お前も早く親離れしろ」
六畳ほどの部屋には先代から受け継がれている年代物の古いが造りのしっかりとした衣装箪笥、本棚、ライティングデスクとチェアー、ベッドとソファがあり、隣室には洗面所もついている。
生田が昨年から通いの執事へと半引退を決めたのを潮に、この執事部屋を泉が受け継いだのだった。
「もうお前がこの縣家の執事なのだから」
と言う言葉とともに部屋の鍵を譲り受けたのだが、泉は
「生田さんがこちらにいらっしゃる内は私は副執事でいさせて下さい」
と昇進を拒んだ。
生田は自分の理想の父親のような存在だ。
知的で品が良くて、仕事には厳しいが本当はとても温かい。
いつまでも生田の下で働きたい…。
まだまだ教えてもらいたいことはたくさんある。
それが泉の本音だ。
生田は黙って昔よくしたように泉の頭をくしゃくしゃと掻き回し、小さく笑った。
「…お前も早く親離れしろ」