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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第10章 初月の夜も貴方と
…月城が僕のことで喜んでくれるのは…。
暁がはっきり分かっているのは…セックスの時だ。


「…貴方の身体は本当に素晴らしい…。しっとりとしたきめ細やかな肌…吸い付くように男を虜にする…。
…何もつけないのに肌は異国の花のような芳しい薫りがして…その上、感度が良くて…特にここは…」
月城が浸入した牡で暁の秘部を突き上げる。
「…ああ…っ…ん…!」
「…狭くて…熱くて…滑らかな天鵞絨のような肉が私を捉えて離さない…」
ゆるゆると腰を遣われ、暁は身を捩る。
「…や…も…それ…やめ…て…」
「…貴方の身体は一度味わうと、もう手離すことが出来ない…禁断の果実のような身体です…。
…こんなにもお美しくて淫らな貴方を、他の男が狙いはしないか、私は気が気ではありません」
腰をゆっくりと回され、暁は甘く喘ぐ。
「…僕を…いくつだと思っているんだ…もう36だよ…。こんな…若くもない男に…誰が言い寄ると言うんだ…」
「貴方は何も分かってない。…貴方はいるだけでその場にいる人間を知らず知らずの内に虜にしてしまう魔力をお持ちだというのに…」
腹立たしげにそう囁くと、月城は再び暁の身体を隈なく甘く蹂躙し始めたのだ…。

…月城が僕の身体に執着してくれている内は大丈夫かな…。
暁は寂しげに微笑む。

…でも…それもいつまで続くのだろうか…。
僕はもう三十路も半ばを過ぎた…。
あと少しで四十代になる…。
歳をとるのは怖くはないが、月城に見限られるのが怖い…。

…月城が僕の容貌だけを愛しているとは思わない。
思わないけれど、歳を経た僕を見て気持ちが冷めはしないだろうか…。

ふと、身体を寒い風が駆け抜けたような悪寒に襲われる。
暁は自分の身体を両腕で抱いた。

…愛は哀しいな…。
その人をどんなに信じていても、どこかに疑念が湧くことはある。
…一体僕はいつになったら心穏やかに月城と接することが出来るのだろうか…。

月城を激しく愛している限り、それは無理なのかも知れない。
…哀しいけれど…。
それが僕の月城への愛の形だから…。

…その時、土鍋の蓋がガタガタと鳴り出し、沸騰した出汁が激しく溢れ出した。
「わっ…‼︎大変‼︎」
暁は鍋に駆け寄り、慌てて蓋を取り上げた。
「熱っ‼︎」
思わぬ熱さに手を離す。
蓋が大きな音を立て、床に転がった。

恐る恐る鍋の中身を覗き見る。
「…えええ〜〜⁉︎」
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