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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
和やかに食事が終わり、暁は丁重にお礼を述べるシスター達に挨拶をし、子ども達に別れを惜しまれながら、教会を後にした。
教会の石畳を降り始めた暁の背後から、呼び止める声が響いた。
脚を止め、振り返る。
走り寄ってきたのは、藍染だった。
「暁様!駅までお送りします」
暁は藍染を見上げ、眼を見張る。
藍染はこれから子ども達に勉強を教える筈なのだ。
「大丈夫だよ。まだ明るいし…」
「いいえ。…こんな猥雑な通りを暁様のように綺麗な方がお一人でお歩きになるなんて危険です。
…大通りまで送ります」
真顔で心配する藍染に、暁は吹き出した。
「そんな…。妙齢のご令嬢じゃあるまいし…」
「送らせて下さい。お願いします」
頑として譲らない藍染に根負けをして、とうとう頷く。
「…じゃあ、タクシー乗り場までね…」
藍染はぱっと端正な貌を輝かせ、笑った。
「ありがとうございます!」
「こちらこそ…。ありがとう」
若い青年の一本気な実直さを、暁は好ましく感じたのだった。
教会の石畳を降り始めた暁の背後から、呼び止める声が響いた。
脚を止め、振り返る。
走り寄ってきたのは、藍染だった。
「暁様!駅までお送りします」
暁は藍染を見上げ、眼を見張る。
藍染はこれから子ども達に勉強を教える筈なのだ。
「大丈夫だよ。まだ明るいし…」
「いいえ。…こんな猥雑な通りを暁様のように綺麗な方がお一人でお歩きになるなんて危険です。
…大通りまで送ります」
真顔で心配する藍染に、暁は吹き出した。
「そんな…。妙齢のご令嬢じゃあるまいし…」
「送らせて下さい。お願いします」
頑として譲らない藍染に根負けをして、とうとう頷く。
「…じゃあ、タクシー乗り場までね…」
藍染はぱっと端正な貌を輝かせ、笑った。
「ありがとうございます!」
「こちらこそ…。ありがとう」
若い青年の一本気な実直さを、暁は好ましく感じたのだった。