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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
暁は月城の手を握り返す。
そして、小さな声で囁くように答える。
「…嘘だ…寂しいよ。すごく寂しい…。
君がいないこの家は…きっと火が消えたようだよ…」
月城の端正な眉が辛そうに歪められた。
暁のやや病的とも言える寂しがりを熟知している月城にとってその言葉は何より胸を痛ませるものだった。
…しかもここ最近もお互いが多忙すぎてゆっくり二人きりで過ごせたことがないのだ。
暁がどれほど寂しさに耐えているのかと慮ると、切なくなる。
潤んだ眼差しで暁は月城を優しく見つめる。
「…寂しいけれど、大丈夫。今、梨央さんは僕よりもっと君を必要とされているんだから…我慢する…」
月城の手が暁の白く華奢な手を取り上げ、その甲に愛おしげに口づける。
「愛しています…暁様。…誰よりも…貴方だけを愛しています」
…どんな宝石よりも輝かしい愛の言葉を得て、暁の心に再び温もりが生まれる。
「僕もだ。月城。…誰よりも君を愛している。
…だから大人しく待っているよ。君の帰りを…」
…いい大人なのに、恥ずかしいな…
そう照れたように笑う暁をテーブル越しに抱きしめる。
「そんな貴方が大好きです。…寂しがり屋で、我慢強くて、繊細で…。貴方はお貌だけでなく、お心まで美しい…」
吐息が触れ合う距離で、優しく微笑みあう。
「…そんなことを言われたら一生君に甘えるよ」
「甘えて下さい。存分に。…演奏会が終わったら、休暇を取ります。…どこかに二人きりで旅行しましょう」
暁は子どものようにしがみつく。
「嬉しい…!…でも…僕は君といられたらそれだけでいいんだ。…だから無理はしないで…」
「…暁様…」
健気な言葉が暁への愛を昂まらせる。
…このまま二人きりの世界に閉じこもりたいほどに暁が愛おしい。
月城は自分の心に踏ん切りをつけるように、暁の額にキスをすると、笑いかけた。
「…まだ少し時間があります。玉川堤までご一緒に散歩しませんか?土手の桜が五分咲きでしたよ」
暁の貌が太陽に光に照らし出されたようにきらきらと輝いた。
「行く!行きたい!」
…この笑顔をずっと守って行きたい…。
そうして月城は、そっと慈しみと愛だけが詰まったキスを彼に与えた。
そして、小さな声で囁くように答える。
「…嘘だ…寂しいよ。すごく寂しい…。
君がいないこの家は…きっと火が消えたようだよ…」
月城の端正な眉が辛そうに歪められた。
暁のやや病的とも言える寂しがりを熟知している月城にとってその言葉は何より胸を痛ませるものだった。
…しかもここ最近もお互いが多忙すぎてゆっくり二人きりで過ごせたことがないのだ。
暁がどれほど寂しさに耐えているのかと慮ると、切なくなる。
潤んだ眼差しで暁は月城を優しく見つめる。
「…寂しいけれど、大丈夫。今、梨央さんは僕よりもっと君を必要とされているんだから…我慢する…」
月城の手が暁の白く華奢な手を取り上げ、その甲に愛おしげに口づける。
「愛しています…暁様。…誰よりも…貴方だけを愛しています」
…どんな宝石よりも輝かしい愛の言葉を得て、暁の心に再び温もりが生まれる。
「僕もだ。月城。…誰よりも君を愛している。
…だから大人しく待っているよ。君の帰りを…」
…いい大人なのに、恥ずかしいな…
そう照れたように笑う暁をテーブル越しに抱きしめる。
「そんな貴方が大好きです。…寂しがり屋で、我慢強くて、繊細で…。貴方はお貌だけでなく、お心まで美しい…」
吐息が触れ合う距離で、優しく微笑みあう。
「…そんなことを言われたら一生君に甘えるよ」
「甘えて下さい。存分に。…演奏会が終わったら、休暇を取ります。…どこかに二人きりで旅行しましょう」
暁は子どものようにしがみつく。
「嬉しい…!…でも…僕は君といられたらそれだけでいいんだ。…だから無理はしないで…」
「…暁様…」
健気な言葉が暁への愛を昂まらせる。
…このまま二人きりの世界に閉じこもりたいほどに暁が愛おしい。
月城は自分の心に踏ん切りをつけるように、暁の額にキスをすると、笑いかけた。
「…まだ少し時間があります。玉川堤までご一緒に散歩しませんか?土手の桜が五分咲きでしたよ」
暁の貌が太陽に光に照らし出されたようにきらきらと輝いた。
「行く!行きたい!」
…この笑顔をずっと守って行きたい…。
そうして月城は、そっと慈しみと愛だけが詰まったキスを彼に与えた。