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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
月城は病室の扉を密やかにノックする。
それに応える侍女の声を待って、扉を開ける。

「…月城…」
広い特別室の病室の窓際の寝台に上半身を起こして横たわる梨央の貌を見て、ほっと息を吐く。
貌色も良くなり、月城に見せる仄かな笑顔はいつもの梨央だ。
「ご気分はいかがでいらっしゃいますか?」
穏やかに尋ねる月城の貌を見上げ、梨央は微笑みながら頷く。
「もうすっかりいいわ。昨夜は取り乱してしまって…ごめんなさい」
今年三十半ばを超えるとは到底思えないほどに、梨央の美貌は少女のままの奇跡の透明感を讃えている。
きめ細かな白い肌、長く濃い睫毛、繊細な人形のような目鼻立ち、そして桜色の形の良い唇…。
相も変わらぬ美しい主人を見て、月城は心から安堵すると共に、思わずその麗しさに見惚れる。

けれど、自分の認識の甘さから梨央を苦しめてしまったことを心から済まなく思う。
「…申し訳ありません。私がもっと気をつけておりましたら…。喫煙者のご来賓がいらしたのに、見逃しておりました」
頭を下げる月城の手を、白絹のように白く華奢な手が握りしめる。
「月城のせいではないわ。私ももう子どもではないのですもの。自分の身体は自分で守らなくてはならないのに…。少しぼんやりしていて…。貴方に心配をかけてしまって…皆にも迷惑をかけてしまって、ごめんなさい」
「そのようなことを…。梨央様がお気になさることはございません」
…昔からそうだ。
梨央様はとても繊細で、周りのものに対してとても気を遣われる。
変わらぬ心の優しさを月城は微笑ましく思う。

…ふと、梨央は傍らの侍女を振り返り、少し席を外すように指示を出した。

侍女が恭しく室を辞すると、少し改まった様子で月城に尋ねた。
「…ねえ、月城。昨夜は暁さんがいらしていのではなくて?」



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