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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
月城は思わず、息を呑む。
「昨夜、発作を起こす前にメイドが、貴方を呼びに来たのが聞こえたの。
…けれど私が急に発作を起こしてしまったから…。
貴方、暁さんときちんとお話が出来ていないのではなくて?」
月城の脳裏に昨夜の暁の哀しげな貌が思い浮かび、胸が痛んだ。
「…いえ。梨央様のご心配をいただくことではございません」
感情を押し殺し答えながらも暁への想いに切なく胸が疼く。
…結局、昨夜は家に帰宅することができなかった…。
どれほど心配しているだろう…。
また、緊急とはいえ、梨央様に口づけをしているところを目撃させてしまった。
蒼ざめた美しい人形のような暁の貌が、今も胸に痛ましく蘇る。
まさか誤解はしてはいないだろうが、いきなりあのような場面を見ては衝撃だったに違いない。
…それに、随分切羽詰まった様子で私に会いにいらしたようだった…。
結局、何も聞けず終いで別れてしまったが…一体何をお話になられたかったのだろうか…。

考え込む月城に、梨央がそっと声をかける。
「…ねえ、月城。暁さんは、お寂しいのではないかしら?」
「…え?」
梨央が恥ずかしそうに告白する。
「…実は私もお姉様のご不在が寂しくて、心許なくて、発作が出たような気がするの。…情けないけれど…。
…お姉様と一か月も離れるのは久しぶりでしょう?
愛するひととしばらく会えないなんて、何より寂しく辛いことだわ。…それでも、私とお姉様は姉妹で血が繋がっているから、どこか安心感があるのだけれど…。
…でも、暁さんと貴方は他人でしょう?二人の立場上、関係を公には明らかに出来ないから、暁さんは貴方になかなか自由に会いにもいらっしゃれない…。
それは不意に心細くなられることもあるのではないかしら」
「…梨央様…」

月城は驚いた。
いつも慎み深く、自分から意見を言うことも稀な控えめな梨央がこんなにもはっきりと自分の思いを語り…また、暁の心情を慮ることを…。
そして梨央によって暁の心情を思い知らさせたことにも衝撃を受けたのだ。
…自分は、暁様のことをきちんと理解できていたのだろうか…。


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