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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
「仲間に?」
「そうだ。俺たちの仲間になって、理想の社会を一から作り上げるんだ。自由、平等、友愛…!
お前の頭脳と決断力、行動力が俺達には今、必要なんだよ。
月城、一緒に革命を起こそう!」
そう熱く掻き口説く轟の口調と表情は昔のままの清廉さだ。
月城は、切なくなる思いをぐっと堪えて首を振る。
「…せっかくだが、私には大切なひとを危険に晒してまで作り上げたい世界などないのだ。
小心者と笑うなら笑え。…お前はお前の理想の道を行け。
私は私の人生を行く。共に生きるひとと…」
そう言い捨てると、扉のノブに手を掛けた。
「…お前の世界は、窮屈ではないのか?」
月城は振り返る。
「…お前はそのお貴族様とずっと主従関係でいいのか?
貴族と使用人…。その関係がずっと続くのだぞ?
同等の身分になりたいと思ったことはないのか?
同じ世界で生きてゆきたいと思ったことは?
…俺たちが目指す世界は、全てが平等だ。
お前と暁様も自由に愛し合え、生きてゆけるのだ。
誰に気兼ねをすることなく…。
素晴らしいと思わないか⁈」
…子どものように澄んだ眼差し…。
月城は轟の純粋すぎる表情と言葉を痛ましく思った。
…そんな理想郷のような世界は、ありはしないのに…。
だが…その理想の世界を…ほんの僅かでも憧憬する自分がいた。
だから、そのまま荒々しく扉を開いて廊下に出る。
「いつでもここに来い。俺は待っている」
月城は返事の代わりにやや乱暴に扉を閉め、足早にその場を去ったのだ。
「そうだ。俺たちの仲間になって、理想の社会を一から作り上げるんだ。自由、平等、友愛…!
お前の頭脳と決断力、行動力が俺達には今、必要なんだよ。
月城、一緒に革命を起こそう!」
そう熱く掻き口説く轟の口調と表情は昔のままの清廉さだ。
月城は、切なくなる思いをぐっと堪えて首を振る。
「…せっかくだが、私には大切なひとを危険に晒してまで作り上げたい世界などないのだ。
小心者と笑うなら笑え。…お前はお前の理想の道を行け。
私は私の人生を行く。共に生きるひとと…」
そう言い捨てると、扉のノブに手を掛けた。
「…お前の世界は、窮屈ではないのか?」
月城は振り返る。
「…お前はそのお貴族様とずっと主従関係でいいのか?
貴族と使用人…。その関係がずっと続くのだぞ?
同等の身分になりたいと思ったことはないのか?
同じ世界で生きてゆきたいと思ったことは?
…俺たちが目指す世界は、全てが平等だ。
お前と暁様も自由に愛し合え、生きてゆけるのだ。
誰に気兼ねをすることなく…。
素晴らしいと思わないか⁈」
…子どものように澄んだ眼差し…。
月城は轟の純粋すぎる表情と言葉を痛ましく思った。
…そんな理想郷のような世界は、ありはしないのに…。
だが…その理想の世界を…ほんの僅かでも憧憬する自分がいた。
だから、そのまま荒々しく扉を開いて廊下に出る。
「いつでもここに来い。俺は待っている」
月城は返事の代わりにやや乱暴に扉を閉め、足早にその場を去ったのだ。