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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第14章 Coda 〜last waltz〜
俯く暁を、包み込むように優しく見つめる。
「…いや。貌の造作ではなく…。もちろんアキラはとても綺麗だ。
ヒカルとは正反対の静の美しさだ。
…けれど、この艶やかな黒髪や、真珠のように照り映える上品な肌や…夜空を溶かしたようなしっとりと美しい黒い瞳や…。
それらにヒカルを仄かに感じてしまうのだよ…」
「…フロレアン…」
やや熱を帯びた碧い瞳をひたりと当てられ、暁はどきどきと眼を伏せる。

…自分の熱い言葉にふと苦笑し、フロレアンは首を振る。
「…すまない。君を見ていると、つい懐かしいような思いに囚われてしまってね…」
「いいえ、そんな…」
暁はそう答えるのが精一杯だ。

…フロレアンが未だに独身なのは、光を忘れていないからだ。
美男子で著名な画家で、その上性格も優しく朗らかで社交家なフロレアンはとても女性に人気がある。
暁と月城がニースに来てからも、何人か恋人らしきひとを見かけたりした。
だが、その人と結婚することも長く付き合うこともなかった。
…暁は知っている。
フロレアンが未だに光の肖像画を部屋に飾り、大切にしていることを…。

フロレアンはパリとニースにアトリエを持っている。
パリのアトリエも洒落たアパルトマンのフロアを借り切ったものだが、ニースでは彼は崖の上の紺碧海岸が一望に見渡せる素晴らしい景観を臨むカーニュ・シュル・メールにある古い城を買い取り、そこにアトリエを構えているのだ。

売れっ子画家の彼はニースでも常に華やかな富裕な人々に、或いは才能と情熱に満ち溢れた芸術家たちに囲まれ、眩しいオーラを放ち輝いている。
…だが、ふとした瞬間に見せる例えようもない孤独な影に、光への思慕を感じずにはいられないのだ。

…暁は、初めてフロレアンに会ったあの日のことを思い出す…。
…あの頃のパリの日々を…。

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