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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第14章 Coda 〜last waltz〜
「この店もすっかり軌道に乗ったな。…良かった…」
フロレアンの声で、暁は長い回想から我に返った。
フロレアンの綺麗な芸術家らしい指が、店の看板を優しくなぞっていた。
…bistro la foret…
月城の名前から取った店名だ。
漆喰壁に合うように温かみのあるロゴで銅板の看板を作ってくれたのは、フロレアンだった。
「…フロレアンのお陰です。貴方がご友人や色々な方にお声をかけてくださったから、たくさんのお客様が来てくださるようになったのです。
それに、料理に関しても…」
…最初は試行錯誤だった。
月城は和洋中華何でも一通り料理をこなせたが、南仏料理は馴染みが薄かった。
開店前の数ヶ月はフロレアンの実家のホテルの厨房に入らせてもらい、南仏料理…特にニース料理をシェフでありホテルオーナーでもあるフロレアンの兄から学んだ。
「ツキシロは本当に勘がいいよ。僅か1カ月で主なニース料理のレシピをマスターしたからね。僕の兄さんも舌を巻いていたさ。
あのオリエンタルなハンサムは一体何者だ?…てね」
月城が褒められることは、本当に嬉しい。
暁は我が事のように白い頬を染めた。
「…月城は凄いんです。何でも出来るんです」
いじらしいほどに誇らしげな表情を見せる暁に、フロレアンは優しく微笑んだ。
「そうだね。けれどまさかツキシロが船に乗って漁をしたいと言い出すとは思わなかったよ…。
まるでパパ・ヘミングウェイだ!」
フロレアンはわざと大袈裟に腕を広げてみせた。
フロレアンの声で、暁は長い回想から我に返った。
フロレアンの綺麗な芸術家らしい指が、店の看板を優しくなぞっていた。
…bistro la foret…
月城の名前から取った店名だ。
漆喰壁に合うように温かみのあるロゴで銅板の看板を作ってくれたのは、フロレアンだった。
「…フロレアンのお陰です。貴方がご友人や色々な方にお声をかけてくださったから、たくさんのお客様が来てくださるようになったのです。
それに、料理に関しても…」
…最初は試行錯誤だった。
月城は和洋中華何でも一通り料理をこなせたが、南仏料理は馴染みが薄かった。
開店前の数ヶ月はフロレアンの実家のホテルの厨房に入らせてもらい、南仏料理…特にニース料理をシェフでありホテルオーナーでもあるフロレアンの兄から学んだ。
「ツキシロは本当に勘がいいよ。僅か1カ月で主なニース料理のレシピをマスターしたからね。僕の兄さんも舌を巻いていたさ。
あのオリエンタルなハンサムは一体何者だ?…てね」
月城が褒められることは、本当に嬉しい。
暁は我が事のように白い頬を染めた。
「…月城は凄いんです。何でも出来るんです」
いじらしいほどに誇らしげな表情を見せる暁に、フロレアンは優しく微笑んだ。
「そうだね。けれどまさかツキシロが船に乗って漁をしたいと言い出すとは思わなかったよ…。
まるでパパ・ヘミングウェイだ!」
フロレアンはわざと大袈裟に腕を広げてみせた。