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第1章 シーン　1

「浅田さんにその気があるかどうか分からないことと、もし、上手くいっても里菜が会社で仕事がやりずらくなりはしないかと思うんだが。」
　想像の中で浅田部長の体躯が浮かび上がる。本当に抱かれたらどんな感じなのだろう。
「浅田部長は早くに奥さんを亡くしてずっと独身だから、もしあたしとそう言う事になっても問題はないし、男である以上女が嫌いなんてことないわよ。それに、あたしが仕事がやりずらくなる話は、あたしと気付かれないようにすればいいのじゃない？」
「里菜と気付かれないようにする？」
「そうよ。」
「どう言う事だ？」
「あたしと分からないようにして浅田部長に近づくの。そうして別人になり済まして浅田部長と不倫関係になればいいわけでしょ？」
「そりゃあまあ、そう言う事だけれど、里菜と分からないようにしてと言うのが理解できない。」