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第9章 シーン　9

「はじめまして。今日はお呼びいただきましてありがとうございます。美奈と申します。」
「詩織と申します。よろしくお願いいたします。」
「こちらこそよろしく。こちらが今日の主賓の浅田達也さんだ。」
「浅田と言います。今日は宜しく。」
　ボーイがワインを運んでくると「照明はもう宜しいですか？」と高原さんに聞いてくる。
「ああ、ありがとう、戻してもらえますか。」
「かしこまりました。」
　部屋の明かりが強くなると窓からの夜景が見づらくなった。浅田部長の視線があたしと美奈に向けられている。大丈夫だろうか。万全だと思っていても、万一という事もある。
「接待の女性は座ってはいけない事になっていると言われたので、席と料理は四人分オーダーしました。ですから店にとってはあなたたちもお客様です。私たちの横に座って一緒に食事して下さい。」
「えー、いいんですか？」
「その方が楽しい時間になりますから。」