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隠密の華
第8章 七

「!?」

私が唇を噛んだ途端、桐は驚いて目を見開く。だが、しかし。唇が離れると、顔を歪めながら唇を両手で押さえた。

「いってぇ!何してんだ!てめぇ!」

「あ、ごめん。痛いか?」

「痛いわ!」

……何故噛んでしまったんだ。処女とは恐ろしい。

「もう良い!口付けなくて!」

「御意」

「……!……えらく、素直に聞くじゃねーか。こういうことだけは……」

叱ってくる桐に真面目に答えると、火に油だった様で。桐が更に眉間へ皺を増やした。

「もう良い!嫌いだ!お前なんか!」

「拗ねるなんて子供か……」

「うるせぇ!」

こうしてる間にも、追っ手が私達を探している事だろう。次見つかれば、互いに何をされるか分からない。
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