この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠密の華
第8章 七
「!?」
私が唇を噛んだ途端、桐は驚いて目を見開く。だが、しかし。唇が離れると、顔を歪めながら唇を両手で押さえた。
「いってぇ!何してんだ!てめぇ!」
「あ、ごめん。痛いか?」
「痛いわ!」
……何故噛んでしまったんだ。処女とは恐ろしい。
「もう良い!口付けなくて!」
「御意」
「……!……えらく、素直に聞くじゃねーか。こういうことだけは……」
叱ってくる桐に真面目に答えると、火に油だった様で。桐が更に眉間へ皺を増やした。
「もう良い!嫌いだ!お前なんか!」
「拗ねるなんて子供か……」
「うるせぇ!」
こうしてる間にも、追っ手が私達を探している事だろう。次見つかれば、互いに何をされるか分からない。