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隠密の華
第9章 八
白夜が言っていた。設樂様も胡蝶を想っていたと。長い歳月が経ったとしても、人を愛した気持ちは風化出来ない……。
「……では、私には胡蝶以外の女を探させようと?」
「それもあるが……確かめたかった。白夜がまだ、胡蝶を忘れていないか」
「どういう事ですか……?」
まだ私は誰かを命を捨てて良い程、愛した事がないから分からないが。それ程の気持ちもきっと、風化しないのではないだろうか。……設樂様の話を聞きながら、私は白夜の事を考える。しかし――
「都。お前が白夜と夫婦になってはくれないか?」
「私が?白夜と夫婦に……?」
設樂様から真剣に頼まれると、一瞬で頭が真っ白になった。