この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠密の華
第11章 十
* * *
「桐、どうしたんだ?」
桐から連れてこられたのは、以前来た森の中にある小屋。そこへ桐から押し込まれると扉を閉められてしまい、困惑しながら私はすぐに外へ出ようとする。
……が、扉が開かない!何故だ。
まさか扉の前に、故意で何か置いているのか?
「桐、開けろ!何してる!今日は大切な式典があるんだぞ!」
何度押してもびくともしない扉に慌てながら、私は外の桐へ向かって叫んだ。
……嫌な予感がする。桐の奴、自棄になっているんじゃ……。
「駄目だ。式典が終わるまで、ここからは出さない」
「何を言ってる!わけの分からない事を言ってないで開けろ!こんなことをして、後でどうなるか分かってるのか!?」
「……分からねーよ。ただ、お前を白夜に会わせたくない」
「本当に、ふざけるな!」
背筋を凍り付かせながら、桐の言葉に思い切り扉を叩く。