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隠密の華
第13章 十二
こんなに胡蝶を愛しているのに。
私は何と馬鹿な事をしているんだろう。
「……白夜……」
ごめんなさい、白夜。
そう言葉にしたいのだが、真剣に白夜を見上げる内に不思議そうな問いが返された。
「胡蝶?何故泣くのだ?」
「えっ……?」
いつの間にか泣いていた。
白夜の言葉で両目の端から一滴涙を溢していることに気付くと、私は慌てて両手で拭う。
……しまった。
何て事を。
白夜から変だと思われるかもしれない。
もし私が都だと気づかれれば、全て終わり。