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隠密の華
第13章 十二

なんと理由を言えば……。


「どうした?何か気分を害す様なことでも言ったか?」

「いえ、そんなわけじゃ……」

「では何故泣く?俺は胡蝶が心配だから聞いているんだ。お前にはずっと笑顔で側にいて欲しい。辛いこともあるだろうが、そんな時は俺が慰めてやる。俺には胡蝶しかいない。胡蝶しか愛せないんだ」

「白夜……」


必死で白夜から話し掛けられると、私は更に胸が苦しく締め付けられた。

白夜はきっとこの世で一番胡蝶を愛している。

それは間違いのない事。

こんなに一途に人を愛する男を見たことがない。

そんな白夜を傷付けてはいけない。

やはり私はこのまま……――


「大丈……」


安心させようと笑顔を作り、大丈夫だと告げようとした。

しかし、急に白夜が私の顔をじっと見つめながら尋ねると、背筋が凍り付く。


「胡蝶、瞼の痣はどうした?」



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