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隠密の華
第3章 二
……私の女っ毛ない体に価値などないだろうが。少しでも抱いても良いと思ってくれるのなら。
「私は、桐なら良い」
「……どうした?売られるって言うんで、血迷ったか?」
「私が処女じゃなくなれば売られずに済むんじゃないだろうか?」
「さあな……でも、俺に言うのは筋違いだ。俺は山賊の下っぱ。売り物に手を出せる程偉くねーし、そんな腐ってねぇ……」
旅している時に出来た体のあちこちにある傷や痣を、こんな風に恥ずかしく思うのは初めてだ。もう少し身なりに、気をつけておけば良かった。湯で濡れた黒髪は、動きやすいが為に普段から顎までしか伸ばさない。生まれつき痩せた体や貧相な胸も、きっと男は好まない筈だ。
「って、おい!?……お、お前、何してる!」
それでも良いなら、桐様、どうか私を抱いてくれないだろうか。
「……頼む」
冷静なまま大桶から外へ出ると、私は眼球が飛び出しそうな程目を見開く桐の前に立った。