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隠密の華
第5章 四
「その顔は何だ?昔の許嫁の顔も忘れたか?」
……やはり、白夜だ。まさかここで会えるとは。これは運が良いとしか思えない。
「いえ。忘れる筈がない……でしょう。会いたかった……わ。白夜」
「俺もだ。お前の事を考えない日は一日足りともなかった」
女性らしく振る舞おうとしていると、白夜が段々こちらへ近付いてくる。そして――
「誰が何と反対しようが、俺は胡蝶を愛している」
「っ!」
私の体を両腕の中に包み込んだ。……至近距離にある金色の短い髪。堀の深い顔立ち。自信に満ち溢れた様な微笑み。がたいの良い逞しい体。……これが白夜。水虎国の将軍跡継ぎ。そして、女好きで有名な男。