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隠密の華
第5章 四
……さっき紫水が私の事を胡蝶に似ていると言っていた。だから白夜も私を胡蝶と間違えているのだろう。何処まで騙せるか分からないが、胡蝶のふりをしておけば白夜に近付ける。
「それにしても、何だ?その姿は?」
「……これは。実は……この男に襲われたの!」
抱き締められたまま白夜から尋ねられると、私は桐をビシッと指差した。
「……は。はぁぁぁ!?お前!何言ってんだ!」
途端、桐が信じられなさそうに声を上げたが、冷たく目をそらす。
「コイツが……?胡蝶、何かされたのか?」
「胸を触られて、口付けられそうになったの……」
「何だと……!安心しろ、胡蝶。コイツは城に捕らえる」
……よし、作戦成功。
白夜の怒った言葉を聞きながら、泣くふりをしつつ内心微笑んだ。