この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠密の華
第6章 五
「胡蝶……初めてではないのか?」
「えっ……それは……」
「初めてな筈がない。こんなにも美しい胡蝶へ、他の男達が言い寄らないわけがない。……誰だ?誰が胡蝶に仕込んだ」
「別に、仕込まれたんじゃないのだけど……」
「許さない……俺の胡蝶を……。胡蝶は、俺だけのものだ」
……本当に、分からな過ぎてどうしたら良いんだ。突然目の色を変える白夜。真剣さは変わらないが、その瞳には怒りが溢れ、声も低くなる。
……怖い。そんな白夜を唖然と見ながら、私は呟こうとした。しかし、急に白夜の顔が顔へ迫ってくると、目を見開く。
「……!」
これは、口付けるつもりだ。どう考えてもそうだ。まずい――
「胡蝶、今度こそ、俺のものになれ」
真剣に白夜から言われながら、私は近付いてくる唇へ鼓動を速めた。