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隠密の華
第6章 五
――すると同時に、扉の外から慌ただしい男の声が聞こえてくる。
「白夜様、大変です!地下牢に捕らえていた男が逃げました!」
その声に運良く白夜が動きを止め、寝台から床へ立ち上がりながら話した。
「……胡蝶、行かなくては」
「あの男、逃げたのね?」
「そのようだ……俺はこのまま探しに行く。胡蝶は部屋で待っていてくれ」
「……分かりました」
……桐、どうやって逃げたんだ。というか、助かった……。これも桐のおかげだ。
「では、すぐに戻る」
ホッと安心しながら、部屋から出て行く白夜の背中を見つめる。そして私もすぐに寝台から降りて、扉へと向かった――