この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠密の華
第6章 五
何だ。痕がついていたから、桐は首を見ていたのか。
「吸われたら痕がつくんだよ!一つ、二つ、三つ……って、どんだけつけられてんだよ!」
「そんなについてるか?」
「……都、お前は一体何なんだ?何者だ?……胡蝶って、誰だよ!」
人差し指で痕を指しながら数えると、桐は真剣な表情で私へ尋ねる。流石に振り回し過ぎただろうか。護衛なのだから、全て話す必要があるか……。
「私も紫水から聞いたが、胡蝶とは、白夜の元許嫁らしい。わけがあって故郷である火凰国へ帰されたが、まだ白夜は胡蝶を想っている。そしてその胡蝶の顔が私によく似ていると……」
「都と胡蝶っていう奴が?」
「ああ。だから私は胡蝶に成り済まし、胡蝶を見つける為に白夜へ近付いて城へ忍び込んだ。これから胡蝶の故郷や今住んでいる場所を調べ、向かおうと思っている」
「……そうだったのか」
冷静に事情を説明すると、私はそのまま続けて尋ねた。
「だから桐も、胡蝶探しを手伝ってくれるか?」