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隠密の華
第7章 六
……手が早いというか。この男……本気で阿呆なんじゃないか!?男とは人を好きになると、こうも溺愛するのか?人を好きになったことがないから分からない。
「ね、ねぇ、白夜、私あなたに話があるんだけど……」
「話?何だ?」
「私ね、山賊に捕まった時に頭を怪我して、少しだけ、記憶喪失になっていて……」
「……記憶喪失?」
「そう。一時的なものだと思うんだけど……ねぇ、だから、私が火凰国へ帰ってから、向かった場所を教えてくれない?覚えていないの……」
引きぎみに私が話すと、白夜は顔を私の頭へすり寄せるのをやめ、真剣に話した。
「胡蝶が向かった場所……それは、あまり言いたくないんだが……」
「言いたくない?どうして?」
「胡蝶は火凰国へ帰った後、火凰城へ向かったと、俺が送り出した密偵から聞いた」
「えっ……どうしてそんな所へ……」
歪めた顔でそのまま白夜が私を見つめ、冷静に続ける。
「火凰国の設樂へ会いに行ったと――」
その言葉を聞き、私は頭が真っ白になった。