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隠密の華
第7章 六
「設樂……様に、会いに……?」
どういうことだ?胡蝶が設樂様に会いに向かった?ということは、設樂様と胡蝶はお互いの存在を知っているのか?では設樂様は、白夜と胡蝶の関係も知っているのだろうか……。もし知っているのだとしたら、何故私に密命を。私に命じなくても、胡蝶を白夜の所へ向かわせれば良かった筈だ。
「そもそも設樂は胡蝶を想っていた。まだ国同士が争っていなかった子供の頃、我が国へ来た時に設樂は胡蝶を見掛けて一目惚れをした」
「一目惚れを……?」
「俺は、胡蝶を火凰国へ帰らせたのは父上ではなく、設樂だと考えている。余程自分のものにしたかったのだろう……だからこうして戻ってきてくれて、俺は幸せだ……」
現実に引き戻されるかの様に白夜から頬へ口付けられると、私は白夜と目を合わせる。