この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠密の華
第7章 六
* * *
「おい、あんま落ち込むな。設樂様もお前に言えなかっただけだって!」
翌朝、また城を抜け出し、桐の隠れている小屋へ向かうと、私は白夜の話を桐に話した。小屋は朝陽に包まれ明るく、外からは鳥のさえずりが聞こえてくる。
「私はどうしたら良いんだ……設樂様を信じて良いのか?」
「都は自分の思った通りに動けば良い」
「……そうだな」
「じゃあどうする?とりあえず国に帰って、設樂様のところ行くか?」
……こんなに桐が頼もしいとは思わなかった。年上だろうが、頼りになる兄の様だ。
「そうだな……そして胡蝶の居場所を聞こう」
「よし!じゃあ、山を越える為に商人に偽るか、商人を雇うか作戦を練ろう!」
「ああ……」
昨日はあれからあまり寝れず、桐の笑顔も頭をぼーっとさせながら見つめる。