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隠密の華
第7章 六
こんな時に、何をふざけてるんだ。触れ合った唇がすぐに離れると、私は低く話した。
「……おい桐、何をしてる」
「都、もし俺が白虎国の密偵だったらどうする?」
「桐が密偵?そんなわけないだろ!」
「もしもの話だ。それぐらいお前には警戒心が足りないんだよ!今だって足音に気付かなかったろ!」
「それは……」
そのまま怒った様な桐の言葉を聞くと、返す言葉もなく言い詰まってしまう。……確かに桐の言う通りだ。でも、だからって何でこんなことを。
「俺は都を守るって決めて一緒にいる。だからお前もしっかりしろよ。設樂様が胡蝶と知り合ってたぐらいで傷付いてんじゃねぇ」
「……ごめん」
続けて怒られると、私は目を伏せながら謝る。