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ジャンクフードでできている
第12章 マリモ
少し昔のニュータウン
古いけど、新しい

区画整理された団地が立ち並ぶ
A棟だとか、B棟だとか書いてある

それぞれに公園
ひとしきりの遊具
ジャングルジムだとかブランコだとか

残念ながら
誰も遊んでいない
だいたい錆びて、砂場にも雑草がはえている
ここで育った子供達は大人になって出ていった

子育てを終えた世代に公園は必要ない

たまに僕が煙草を吸いに来るだけ

カラスが時計台にとまっている

もちろん、時計は動くのをやめている

影がのびている

やたら青い空に、煙草の煙がゆれる

だれもいない

喫煙をとがめる人もいない

スマホをみる

誰からの呼び掛けもない

もう、誰も僕を必要としていない

この公園と同じだ、僕は

…カメだ

ふいに昔飼っていたカメを思い出した

あいつ、どこへいったんだろう?

長生きしていた

ほとんど世話もしていなかったけれど

最後は、死んだっけ?逃がしたっけ?

思い出せない

僕もあいつと変わらない

誰の記憶にも残らずに、知らぬ間に忘れられていく

時間がとまっている

死んでいても

生きていても

同じ

起きて、寝て

食べて、排便して

飲んで、排尿して

たまに勃起して、射精する

そのうち、老いて、死ぬ

だれの記憶にも残らない

この公園と

カメと

僕が

青い空


「いつかの誰かを忘れてしまっている自分がいるから、お互い様ですよね、たぶん」






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