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ジャンクフードでできている
第19章 クコ
僕は校舎か病院のような建物の3階だか4階だかの細長い一室にいる
ベッドが置かれていて、脇には背もたれもない安い椅子が数脚
「大丈夫かい?」
「そうかい、それはよかった」
「検査が必要だ、腕を出して」
たしか三人くらいの冴えない男達が僕の顔の様子をうかがうように、それぞれに話し掛けてくる
僕は彼らの言う通り、腕に注射で採血されて、何かの透明な液体を打たれる
小さな窓には合わないすえたカーテンがしいてある
ただし高窓からは光が射して、男達の顔は逆光でかげになってはっきりしない
ベッドの上に座って、僕は目を閉じる
記憶につながりがない
どこかわからない
ただ、ここにいるのが当たり前な自分がいる
虚無感
だるい
自分でもよくわからない
それが昨日か
数日経ったのか
はたまた一年前のことなのか
既視感
「大丈夫かい?」
「そうかい、それはよかった」
「検査が必要だ、腕を出して」
僕は、ベットに座って言われた通りにする
繰り返している
ポンプの中に染み出る黒っぽい色と少しの泡
同じだ
ふと気付くと、僕が椅子に座って
男達がベッドにぐちゃぐちゃに寝そべっていた
僕は現状を受け入れる
カーテンの隙間から、外を見る
数棟の高いビル
地面には荒れた道路
兵士が這いつくばった男を蹴り飛ばしている
それは、僕だ
僕が二人いる
僕が犬ころのように、蹴飛ばされ、引きづられている
怖い
僕は恐怖する
逃げなくては
そうだ、おかしいのだ
奴等は僕を、監視しているのだ
逃げなくては
ベッドに転がっている男達も、僕を心配しているフリをしていただけなのだ
僕は慌ててコンクリートの階段をかけ降りる
一階には、勝手口のドアが半開きになっている
おそるおそる外に出る
ここから先は走らなくてはならない
見つかればどうなるかわからない
走れ、逃げよう
建物のかげを選んで逃げる
怖い、怖い、怖い
建物が途切れる
荒い岩の上を、かろうじて進む
海だ、浜辺がある
逃げよう、上手くいきそうだ
でも、こんなにすぐに逃げられるなんて
ピーッ!
頭の中で高い電子音が響く
死ぬかもしれない
たぶん、このまま走れば
奴等が逃がしてくれるはずがない
でも、逃げなければ
…
ボンッ!
ああ、やっぱり。
頭の中が破裂しだんだ。
「精神と」
ベッドが置かれていて、脇には背もたれもない安い椅子が数脚
「大丈夫かい?」
「そうかい、それはよかった」
「検査が必要だ、腕を出して」
たしか三人くらいの冴えない男達が僕の顔の様子をうかがうように、それぞれに話し掛けてくる
僕は彼らの言う通り、腕に注射で採血されて、何かの透明な液体を打たれる
小さな窓には合わないすえたカーテンがしいてある
ただし高窓からは光が射して、男達の顔は逆光でかげになってはっきりしない
ベッドの上に座って、僕は目を閉じる
記憶につながりがない
どこかわからない
ただ、ここにいるのが当たり前な自分がいる
虚無感
だるい
自分でもよくわからない
それが昨日か
数日経ったのか
はたまた一年前のことなのか
既視感
「大丈夫かい?」
「そうかい、それはよかった」
「検査が必要だ、腕を出して」
僕は、ベットに座って言われた通りにする
繰り返している
ポンプの中に染み出る黒っぽい色と少しの泡
同じだ
ふと気付くと、僕が椅子に座って
男達がベッドにぐちゃぐちゃに寝そべっていた
僕は現状を受け入れる
カーテンの隙間から、外を見る
数棟の高いビル
地面には荒れた道路
兵士が這いつくばった男を蹴り飛ばしている
それは、僕だ
僕が二人いる
僕が犬ころのように、蹴飛ばされ、引きづられている
怖い
僕は恐怖する
逃げなくては
そうだ、おかしいのだ
奴等は僕を、監視しているのだ
逃げなくては
ベッドに転がっている男達も、僕を心配しているフリをしていただけなのだ
僕は慌ててコンクリートの階段をかけ降りる
一階には、勝手口のドアが半開きになっている
おそるおそる外に出る
ここから先は走らなくてはならない
見つかればどうなるかわからない
走れ、逃げよう
建物のかげを選んで逃げる
怖い、怖い、怖い
建物が途切れる
荒い岩の上を、かろうじて進む
海だ、浜辺がある
逃げよう、上手くいきそうだ
でも、こんなにすぐに逃げられるなんて
ピーッ!
頭の中で高い電子音が響く
死ぬかもしれない
たぶん、このまま走れば
奴等が逃がしてくれるはずがない
でも、逃げなければ
…
ボンッ!
ああ、やっぱり。
頭の中が破裂しだんだ。
「精神と」