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溺れる金魚
第15章  彼の怒り
今朝は彼と共に玄関で朝を迎えた。


体に痛みが走ったのは固い床で眠っていたからだけではない。

昨晩のあれが現実であったことをこの痛みが伝えている。


痛くても紗良にとっては幸せに満ちた朝だった。




慣れるまで恥ずかしいけれど、彼のことを崇志さんと呼ぼう。

そう思って彼を呼んだあの時はほんの少し勇気が必要だった。




でも、一瞬で分かった。

彼に昨晩の記憶が無いということを。



昨夜の甘い彼に応じたテンションに自分だけがなっても、彼も困惑するだろう。


そう思ってすぐに呼び方を元に戻した。

……そうか。



彼は覚えていないのか。
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