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溺れる金魚
第20章  ほどける心
先程感じた、今以前の紗良との交わりが記憶の中で佐野をくすぐる。


「俺が、それを付けたと言うのか?……もしかして昨日?」

あの痕がそれ程古いものではないから、それ以外考えられない。



だから彼女は今朝からいつもと違っていたのか?

突然名前で呼ぼうとしてみたり、昨夜の事を覚えていないと言うなり不機嫌になって……。



それは、何を意味している?

今朝の目覚めてすぐに感じた手に残る彼女のリアルな質感。


あれは……現実だったというのか?




スラックスのベルトもファスナーも外れた状態だった。


パズルのピースのようにそれらが上手くはまっていく。
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