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溺れる金魚
第25章  嫉妬と溺愛
「紗良?疲れていないかい?」


佐野が紗良の腰に手を回しながら首筋にキスを落とす。

「はい……」


「元気がないね。大丈夫?」

佐野が心配気に覗き込む。


それに耐えられずに紗良は俯き、首を振る。


「……違うんです。そうじゃなくって……」


思い出したかのようにふふっと小さく笑う。

「私……香坂さんに嫉妬してて……」


甘えるように佐野の肩に頭を乗せる。


「……え?香坂に?何故?だって彼女は……」

「ええ。さっき、聞きました……。第一秘書の近江さんの奥さんが出産だからあなたが無理矢理帰したって。だから、香坂さんがピンチヒッターで来たって……普段はあまり関わらないから緊張したって言ってました」
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