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溺れる金魚
第5章  熱いキスを
彼に背を向けて眠った振りをしていたのを、頃合いを見て向きを変える。


彼の方に向き直って、触れたそれが手と分かると指を絡ませた。




……彼は、どうするのか。



その、淫らな行為へと発展していくのかもしれない。


期待が紗良の胸を膨らませていく……。






結果は、後悔しかなかった。

一瞬の間を置いて、彼は慌ててその指をほどくと寝返りを打ち紗良に背を向けて、その後はそのまま眠ってしまった。





知らなかった。

そんなに嫌われているなんて。





……知らなかった。





紗良も静かに寝返りを打つと、そのまま静かに枕を濡らした。

もう、あのキスを求めてはいけないと、自身に言い聞かせた。




それ以上の行為を彼にされたいと、願った欲求全てを、胸の奥底へと仕舞い込んだ。


誰にもそれを悟られないように……。






それは、彼にも……。
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