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溺れる金魚
第5章  熱いキスを
疲労が溜まっていただけだったのだろうか。

翌日には佐野の熱もすっかり下がり、いつもと変わらない朝がやって来た。



ただ、いつもと変わらなかったのは全く記憶の無かった彼だけで、彼女は彼の唇を見る度にその疼きがしばらく止まなかった。


だから……。




その次の行為を求めて、数日後の夜紗良は試した。



眠った振りをして、横に眠る彼の手をそっと繋いでみた。

彼はどんな反応を見せるのか、紗良は知りたかった。



自分と同じように、彼も躰が反応を見せるのだろうか。


そうであれば、今すぐにでも抱かれたい。



あの夜のキスをきっかけに、はしたない感情が遠慮無く漏れ出る。




彼に抱かれたい……。



もっと深いキスも欲しい。



互いに溶け合いそうな程交わりたい。


経験が無いからこそ、余計に妄想は広がる。

小説に度々出てくる濡れ場。



あんな事を……私も彼にされてみたい……。




その欲求を誰かに覗き見されたら恥ずかしさで死ねるほど、紗良は空想の中で淫らに求めた。
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