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溺れる金魚
第33章 ホワイトクリスマス
『お土産は何が良い?何でも買ってくるから言って』
『そうですねぇ。じゃあ調べて後で画像送ります』
それが今朝最後に交わした言葉だった。
それからまめに受信チェックを重ねているが、画像どころかメッセージすら見当たらない。
佐野は、まさかと悪いことばかりを浮かべていた。
家出したとか浮気しているとか。
そして自嘲する。
何て小さい男なのかと。
それなら今回に至っては紗良の方がどっしりと構えて妻の役目をきっちりと果たしているなと想いを巡らせながら瞼を閉じた。
妻の役目。
それでも、多少の我が儘なら幾らでも受けれてやるのにと心の隅で拗ねているのも事実だった。