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溺れる金魚
第33章  ホワイトクリスマス
あれは、彼女が幾つの時だったか。



会長が夫人との拗れていた仲を漸く回復させて仕事を引退すると騒ぎだした翌年だから……。

彼女がまだ短大一年の時だったはず。


互いが婚約の話を提案されて意識しすぎてぎくしゃくし始めた頃。


当時まだ紗良の父は現役であり彼の秘書であった佐野。


休日であったが至急に社長である紗良の父に連絡を取らなくてはいけなかったのだが一向に電話に出ない上司に、一体何のための携帯電話だとイラつきながら自宅へと向かった。


呼び鈴を鳴らすと出てきたのは紗良。



佐野を見上げる頬の桃色に指を伸ばしたい衝動を隠しながらの対応。
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