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溺れる金魚
第7章  友と
「今夜は短大の友人との食事なので夜は遅くなります」

「ああ」



それ程興味も無さそうに返事をしながら、彼は靴べらを使って靴を履く。

彼女から鞄を受け取ると目も合わさずにそのまま扉を開けてあっけなく玄関の外へと出ていってしまった。



玄関に一人取り残された紗良。


ふぅっと押し殺していた呼吸を再開するきっかけのように大きく深呼吸をした。



途端にエプロンのポケットに入れていたスマホが着信を知らせた。

『もしもし?今日の事、ちゃんと覚えてるでしょうね?』


名乗りもせずに突然用件を言い出す。

短大の時から仲の良かった沙保里からだった。




「分かってるわよ、もちろん。みんなも来られるって?」



同じゼミの、性格も趣味もそれぞれ大きく異なるというのに、卒業してからもこうして数ヵ月に一度交流が続いていた。
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